現代人の涙は枯れ果てた!?モバイル情報社会とドライアイ
こんな症状が出たら要注意! このところ疲れ目がひどいEさん、46歳。老眼かと眼科を受診したところ、ドライアイを指摘された──。
ドライアイは涙の量や質の異常により、目の角膜表面が障害される病気。最も多い「蒸散型」では、まばたきの減少や涙液成分の異常で角膜表面が乾燥し、「肌荒れ」状態になる。
目の表面を覆う涙は、いちばん外側から、被膜として水分の蒸発を防ぐ「油層」、栄養分と水分を含む「水層」、角膜表面に直接触れる「ムチン層」の 3層構造になっている。油層の主成分はまつげの生え際にあるマイボーム腺から分泌されるが、なんらかの原因で腺が目詰まりすると、油層の形成が不完全になって水層の蒸発が早まる。
一方、ムチン層の主成分は結膜のゴブレット細胞から分泌されているタンパク質で、粘性が高く、涙を目の表面に定着させる働きがある。このため、ゴブレット細胞の炎症などで分泌機能が低下すると、涙の保持力が落ちるわけだ。また、コンタクトレンズの長期使用で角膜表面がすでに荒れている場合は、涙が定着しにくいことが知られている。
このほかにも加齢とともに涙の排出機能不全が起こる、自己免疫疾患で涙腺が破壊される、などの発症原因があるが、中高年男性では「蒸散型」が多い。
特にまばたき回数については、現代人のディスプレイ依存症とでもいえそうなライフスタイルが影響している。通常、人は3秒くらいでまばたきを1回します。目の渇きを感じるようになるまでには約10秒かかるそうです。もし目を開いたまま5秒目をあけていられない場合はドライアイの可能性があるそうです。以前、目の渇きを感じたので受診したとき部分的にドライになっていると言われました。ヒアルロン系の目薬をもらいました。絶え間なくパソコンや携帯電話の画面を「凝視」するうちに、まばたき回数が減少し、涙の蒸発が増えるからだ。また緊張による交感神経優位の状態も涙が枯れる原因の一つ。目の保護、アダルトグッズは消毒を兼ねる涙が減少するのだから、各涙層の分泌器官にもよいはずがない。次第に涙液の質に異常が生じ、重症化してしまう。
通常、人は3秒間に1回まばたきをし、目の表面が乾き切る前に新たな涙層を形成する。目の表面に定着した涙の層が乾き始めるまでの時間はおおよそ 10秒。ところが、涙液が減少していたり、涙液成分に支障がある場合は目を開け続けていられない。目を閉じてからぱっと見開き、5秒間目を開けていられない場合は、ドライアイの可能性がかなり高い。
さて、ドライアイの治療だが、まずは人工涙液のこまめな点眼が基本。保湿と角膜表面のキズを治す効果があるヒアルロン酸入りもある。市販薬は濃度が低いので、眼科で処方してもらおう。この4月には涙液の水分とムチンの分泌を促進する点眼薬が承認された。年末には処方が始まる予定で、効果が期待されている。