風が風車を回し発電機を動かし電気を作ります。風の力の4割を電気エネルギーに変換することが出来るそうです。せっかく吹いてる風も無駄にせずエネルギーに変えましょう。発電機のコストも安く、CO2も排出しないなど利点はありますが電波障害を起こしたり、計画的な発電が出来ないなどの欠点もあるそうです。風任せって言葉通りですね。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、海に風車を浮かべて発電する「浮体式洋上風力発電」の実証研究に向けた調査活動に乗り出す。調査は産業界や大学などに委託し年内に始める計画で、5月にも委託先の公募を始める。海に囲まれた日本は、洋上風力発電に適した海域を多く抱える。NEDOは近海に浮体式を導入する可能性を技術や経済性の面から探り、自然エネルギーを地球温暖化対策と産業競争力の強化策に生かす道筋を広げたい考え。
◆開発進む欧州
洋上風力発電設備には2種類あり、一つが水深50メートル程度までの浅い海底に風車を固定する「着床(ちゃくしょう)式」だ。もう一つが50~200メートルという深い海域に適した「浮体式」で、風車を支える土台を浮かべてチェーンなどでつなぎ止める仕組み。
すでに世界45カ所超で1000基以上の洋上風力発電が稼働し、この分野の開発が盛んな欧州で大規模発電所が相次ぎ誕生している。例えばデンマークでは、20万世帯分の年間電力消費量に相当する91基の風車を建設する計画が具体化した。
ただ、日本の開発は発展途上にあり、NEDOが昨夏から着床式の実証研究を進めたばかりで、欧州の後塵(こうじん)を拝しているのが実情だ。今回の調査の背景には、そうした現状を打破したいとの危機感がある。
特に浮体式は先行するノルウェーを除くと世界各国がようやくスタートラインに立ち始めた未開拓分野だけに、競争優位性を発揮するチャンスが残されている。日本風力発電協会の斉藤哲夫企画局長は「造船や機械などのモノづくり技術を生かせば、浮体式で世界のトップランナーを狙える」と強調する。
こうした期待を背に、NEDOは浮体式の調査を2段構えで急ぐ方針だ。まずは浮体式の実現可能性を探る先行調査を年内に実施。その上で来春までに実証研究前の本格調査に着手し、調査委託先も改めて募る。これを踏まえ、実証機を設置し実用化に向けた課題を洗い出す。
◆条件そろう洋上
世界的に洋上風力発電の導入機運が高まる理由は、陸上に風力発電に適した土地が少ないからだ。その点、洋上は「発電を行いやすい条件が整っている」(NEDO新エネルギー部)という。風速が陸上の1.2倍以上と強く、風の乱れも小さいほか、景観や騒音などの環境問題も引き起こしにくい。
NEDOは洋上風力発電を深い海域に低コストで建設するためのノウハウの獲得を進めたい考えだ。風車の大型化によって1機当たりの発電出力が増大すれば、発電設備の数が減る。浮体式の場合、風車を載せる基礎構造物の建設に多額の費用がかかるが、大規模化すれば基礎部分の設置コストを下げられる。
これは発電コストの低減にもつながる。導入が進む陸上風力の発電コストは、1キロワット時当たり10円前後。現在の浮体式洋上風力は陸上風力の倍以上になるとみられるが、中長期的には陸上と同水準を目指す。
洋上風力発電の可能性はどの程度か。NEDOは、日本の岸壁から30キロメートル離れた深さ200メートルまでの海域に風速毎秒7メートルの風が吹くと仮定した場合のエネルギー利用可能量を試算した。それによると約12億キロワット。これは洋上風力発電設備を可能な限り敷き詰めた場合の数字だ。
東京大学大学院の石原孟(たけし)教授によると、さまざまな条件を考慮して発電設備の設置可能領域を絞った場合、4800万キロワットの設備容量を確保できるという。風力の稼働率を3割と試算すれば、100万キロワット級の原子力発電所18基分に相当する規模だ。
その上で石原教授は、産学官の技術開発を無駄にしないためにも「国家目標と戦略をいち早く作るべきだ」と指摘する。米国では2月に省庁横断的な洋上風力戦略を発表、中国や韓国も約20年後を見据えた導入計画を策定しており、日本の巻き返しが急がれている。
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