心臓病の大手術のあとで安静にしていなければならない時期に退院出来るくらい身体に負担の少ない手術をロボットが実現させました。
人それぞれ大きさが違うでしょうにそれでも対応して最小限の傷で治療が出来て、確実だったら騎がるに手術出来るようになりますね。
国内で初めて手術ロボット「ダ・ヴィンチ」による心臓手術を行った渡邊剛・金沢大学医学部心肺総合外科教授(東京医科大学心臓外科教授を兼務)はある日、入院患者専用ラウンジの光景に目を見張った。前日に自分が冠動脈バイパス手術を執刀したばかりの70代の女性が、看護師と談笑していたのである。
「声をかけると“病室から歩いてきた”とにこにこしている。胸の骨を切り開く標準的な手術なら、痛みで身体も起こせない時期だというのにね」。ロボット手術の可能性を確信させる瞬間だった。
4本のアームが人体の奥深くに潜り込み、緻密な動きで病巣を切り取る手術支援ロボット、ダ・ヴィンチ。1本のアームには高精細カメラが取り付けられ、執刀医の目に、残る3本は繊細な手指となって、鉗子(ピンセット様の医療器具)や超音波メスを次々に装着して縦横自在に組織を切り離していく。
冠動脈バイパス術では、アーム挿入のため1~2センチメートルの切開創を5~6ヵ所開けるだけ。標準的な「開心術」では喉元からみぞおちまで35センチメートル超の切開が必要であり、そのダメージの差は推して知るべしというもの。術後3日で退院し、数週間で職場復帰が可能だ。
1980年代終わりまで、心臓外科に限らず外科医の黄金律は「Big Surgeon Big Incision─偉大な外科医は大きく切る」だった。しかし、87年にフランス人医師が世界で初めて胆嚢の内視鏡術に成功して以来、黄金律は過去のものとなり、欧米では低侵襲(キズなど身体への負担が少ないこと)の内視鏡術が当たり前になる。
ダ・ヴィンチはこの低侵襲内視鏡術のいわば最進化型。人間の手指に匹敵する動きと、3Dの視野を持ち、「自然に近い直感的な手術ができる」(渡邊氏)という。手ぶれ補正やセンサースイッチ式のセキュリティシステムを備えるなど安全性も高い。米国では身体の深部で繊細な動きが要求される前立腺摘出術の8割がロボット手術で行われ「ロボット抜きでは患者が来ない」(外科医)とまでいわれている。
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